静岡おでん「ちえ」～９０歳のちえばあちゃんの歩んだ道

この感じ。

店内の棚や時計や灰皿ひとつまでも昭和レトロ。
むかし見たことがあるような懐かしいものばかり。

昭和というよりは、戦後の雑踏がそのまま残っているような奥深さ。
今は亡き祖母や祖父母を思い出すような感覚。




こちらが、ちえさん。

御年９０歳。

「おでん屋をやって５０年以上経つよ。わたしが３０代のときに旦那が亡くなってね。この店で子供を５人育てたよ。」と言って笑うちえさん。

ほわほわした憂いのようなものを感じる、その背中の優しさ。

大勢の客が、ちえさんと人生を語りに来ます。





私達が来たのは、夜中の１時。
ちえさんがシャキシャキと開店準備をしていました。
「何時に開店するんですか？」と聞くと「夜中の１時だよ」。
「えっ？ちえさん、いつ寝てらっしゃるの？」と驚いて聞くと「１日２～３時間しか寝ないよ。もう何十年もね。」

その笑顔。

もしかして日本で一番働いている人とは、ちえさんのことではなかろうか。





旅先での大人の語り時間。

酒を酌み交わすという言葉が似合うまち、静岡おでん街。


ちえさんに会いにくるために、静岡を訪れる旅人もいるだろうなと思います。

それは間違いなく来年の私だろうな(笑)。